ハレの日に出かける町 ・キャットストリート |
Little Area Series 001は「キャットストリート」。 本来頭に穏田(オンデン)と付く。 High Blandをもつ企業が気合の入った Product Lineを示し売っている。 |
Little Area Series:「その町あるいは街・通りは何をもって我々を満足させてくれるのか」それを(出来るだけ)はっきりさせる。そしてそれを示したい。 「その町あるいは街・通り」は2-3時間あれば充分に楽しめる小さな立方体。例えば(日本橋老舗街)(かっぱ橋道具街)(上野恩賜公園・博物館美術館area) |
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気合の入ったProduct Lineを示し売る店が並ぶキャットストリート
「High Bland Product Line」を並べる店が軒を連ねるキャットストリート。
独自の哲学で作られた商品が並ぶスペース。たとえば同じアウトドアジャンルといってもそれぞれ(の企業)のスペース=店に並ぶ商品はデザイン、素材、機能等が異なる。もちろんスペースの造りも商品を陳列する姿勢(ディスプレイコンセプト)も異なる。いろいろ異なるからそれを我々お客さんはわくわくしするし期待もする。異なることを主張する競争状態を目の当たりにすることのなんと愉快なことか。店に行く着くころには小走りになるし、人によっては抜き足差し足になるようだ。店員さんも時間をいとわず相談にのってくれる。
やや繰り返しになる。この通りには気合の入った店が多い。商品づくりブランドづくりの際の哲学をディスプレイしている店が多いと言ってもよく、flagship shopあるいはそれに匹敵する店が通りに並ぶ。
同じジャンルの商品を複数のメーカーが出していることで、新しいデザイン、素材、機能の現物を目の前で見ることができる。現物とカタログとを見ながら品定めができる町だといえる。
いつものブランドだけどもっと違ういいものを見つけたい人。自分に合う商品、ブランドを見つけたいと思っている人にいいストリートだろう。
町はいわゆる臭みがなく爽やか。そのタイプの2人が散歩するのにいい具合と思われる。
葛飾北斎「富嶽三十六景・穏田の水車」。およそ190年前のキャットストリート
新宿御苑の湧水に玉川上水の余水を加えて流れ出した穏田川(オンデンガワ=渋谷川)は、広い田んぼと田園を潤し、いまの表参道を横切る辺りから流れは下り始める。参道には橋が架けられ参道橋と呼ばれた。渋谷に向って流れていた川は、前の東京オリンピックのころ蓋をされ人のあるく道になった。穏田商店街つまりキャットストリートである。猫が多かったらしい。
穏田川と呼ばれていたころ大きな水車があった。葛飾北斎が「富嶽三十六景・穏田の水車」を描いている。
「穏田の水車」には、今のキャットストリートあたりの情報がたくさんある。川の流れはとても豊かで、水車は水しぶきをあげている。水力で脱穀をしているらしく籾(?)の入った大きな袋を運ぶ男が2人。女は洗いものをしている。そして子どもは亀と遊んでいる。向うに富士山。現代の町並みからは想像もできない、誠に雄大な景色だったのだ。
表参道の旧参道橋付近から歩き始めると、キャットストリートはゆるやかな下り坂になっており、格好の散歩道になっている。道に倒れかかるような背の高いビルはなく、その分、空がひろく晴れ晴れとして眩しく気持がいい。道に沿って自社ブランド商品を並べる店がズラーと並んでいる。気合が入っているなと感じて、それも気持いい。
渥美清さんが、穏田町といったころ、この辺りのアパートに住んでいたと、小林信彦作の「おかしな男渥美清(新潮社刊)」という本にあったのを唐突だが思い出した。表参道からちょっと入ったこのあたりはまだそういう住まいが多かったようだ。2人は自分たちの「これから」を夜通して話したのだという。
表参道・参道橋を南に行くとキャットストリート
明治神宮の広大な森を背にして欅並木の表参道をいき、途中、シャネルのあるビルを目印にして右折するとキャットストリートだ。その右角に参道橋の石碑。
坂を下っていくと、右にCOLEHAAN(靴)とBRADELISNY(ランジェリー)が軒を連ね、左にイタリアンレストランLocandaF.Q。さらに行くと、商店街イメージを保っている(?)八百屋さんが季節の野菜を並べている。
誰を満足させようとしているのか。 世界的HighBrandが並ぶキャットストリート
ここでビジネスをしている店は誰を満足させようとしているのか?
いいものを見つけたい。自分に合うものを納得して買いたいと思う人たち。すこしくらい値が張ってもOK。妥協しない。ここにある店たちはそういう人を見つけ話しかけ売りたいようである。
概して言えば、30歳代の男性・女性。選択の基準を持っている人。
その人たちに向って競い合いながら多くの選択肢を出し「満足」を実感させたいと考えている。
たとえばアウトドアジャンルの商品を売る5店。