東京 吉祥寺
混ぜこぜになった独特の香りにひかれて
人が吉祥寺にやってくる。
吉祥寺には演劇の町。ジャズの町。学生の町。井の頭公園につづく町。さらにたくさんの食材が用意されている町など、多くの冠がついている。すこし前までは東京屈指の風俗の町としても有名であった。
劇団前進座の本拠地があったり東京女子大、成蹊大学などの大学があったりでそれぞれの冠がなるほどと明らかにできる。
演劇とか学問、ジャズという独特の香りが町をおおっていて歩く人にも降りかかっていた。
現在、その香りは強くない。が、残り香のようなものがあり、新たな香りを注ごうという動きもあって、その混ぜこぜになった香りにひかれてたくさんの人が吉祥寺にやってくる。
吉祥寺駅南口は丸井ができ、公園に続く道に小さな店とL.L.beanとファッションストア、焼き鳥のいせや公園店などができて歩くと楽しい町になってきた。いせやが商店街の核店舗のような形になって一定の数の人たちが行き来するようになった。みやげ物を買ってちょっと休憩する通りになってきた。
店は入れ替わりが激しいようだが、ぶらぶら歩く若者や子ども連れにはあまり関係ない。
吉祥寺駅北口。五日市街道とJR中央線に挟まれた一帯が吉祥寺の主たる繁華街である。東急百貨店、近鉄百貨店、西武百貨店があった。西武百貨店が進出したころが大いに賑わった時代で、いまは東急のほかは撤退した。いま、吉祥寺は、日本の町は北に向って開けていくという説の通り(確証のない仮説)、北西方向、東急百貨店の裏の方向に町が伸びているようだ。NIKE、whiteアトリエ/Converseという世界ブランドを売る店がそれぞれにある。
駅(北口)と道路を隔ててハモニカ横丁と呼ばれるグシャッとした狭い一帯が一時賑わった。新橋烏森口前にあった多くの店と同様、すこし翳りのある雰囲気でサラリーマンがよく飲んでいた。
井の頭公園は動物園まで含めた広いイメージがある。しかし、象の花子がいなくなって動物園は小動物と熱帯植物が中心になり、小さな子ども向けの園地になっている。
公園は井の頭池を中心にした静かな安らぎの場になった。散歩をする人が多い。井の頭池の奥まったあたりに噴水が上がっている。湧水点である印だ。ここから神田川が始り浅草橋あたりで隅田川に注ぐ。
井の頭公園はジャグリングや皿回し、バルーンなど人気の芸を見せる大道芸人が多くいた。いま(2020年11月中旬)、感染症が拡散し自粛しているが、やがて戻ってくるだろうと多くの子ども達とともに期待したい。