2022年春の鎌倉。町がすこしわくわくしている。
鎌倉を舞台にした大河ドラマが予想以上に人気があるからだろう。
北条政子が生涯を通じて声をあげるほどに喜んだのはこの時ではなかったか。
1182年春3月、のちに頼家と名付けられる子を身ごもり頼朝にそれを告げた時、頼朝が満面を笑みにして足を踏み鳴らさんばかりに喜んでくれた時のことである。大蔵御所の裏山に咲く山桜が花を散らす中で、いつも気難しい顔をしている夫がバンザイして喜んだ。それを目の当たりにする政子もまた眩しく輝くような笑顔をした場面。
段葛が2016年に一新されて7年目。苗木だった桜も大きくなった。
鎌倉は梅の香りから桜の花へ
3月も中旬になると清らかな香りを残して梅は散っていく。それでも二階堂の覚園寺、瑞泉寺などでは余香を楽しめる。が、いよいよ春の日差しに誘われて咲く桜の季節だ。ほんの3週間ばかり我々を桃(?)源郷に連れていってくれるため今年も桜は咲く。
鎌倉・段葛の桜の開花は3月27日(日)
五分咲きになるのが3月31日(木)
満開は4月2日(日)
ウエザーニュースから引用させていただいた(2022年2月17日予報)
毎月鎌倉を取材するようになって5年を遥かに超えた。鎌倉の町はほとんど変わらない。
日本酒を作る時、蒸した米に麹菌を付着させ麹にする工程がある。が、長い間それを行ういつもの部屋に麹菌が付着していてその麹菌もその年の麹菌の繁殖に参加するといい、それが大切なのだということを聞いたことがある。日本の観光資源の多くがピッカピカになっていく中で鎌倉は、変な言い方だがピカピカにならない。いいことだと感じ入っている。
北条政子の笑顔(9)

1182年春3月、のちに頼家と名付けられる子を身ごもり頼朝にそのことを告げたその時、頼朝が満面を笑みにして足を踏み鳴らしながら喜んでくれた時のことである。大蔵御所の裏山に咲く山桜が花を散らす中で、いつも気難しい顔をしている夫がバンザイして喜んだ。それを目の当たりにする政子もまた眩しく輝くような笑顔をしていた場面。
頼朝はこの時かねて懸案だった若宮大路を整備することを思った。
月刊鎌倉2月号で、政子の怒ったり悲しんだり笑ったりする時間帯が過ぎようとしていると書いた。その一番嬉しかった時のこと。政子25歳、頼朝35歳。(打倒を目指した平清盛は1181年2月4日に死去)
1182年3月9日、御台所政子の着帯、頼朝が自ら帯を結んだという。その月の15日から鶴岡八幡宮の社頭から由比浦までの曲がった道を直して参詣の道を造り始めたと吾妻鏡。懐妊を祝い特段のこととして大路の中央部を一段高くした。いま段葛と呼ばれる路で長さは約500メートル。
土石の少ない鎌倉では卑弥呼が眠るという箸墓古墳を造成するほどの大工事であったろう。武衛(頼朝)は手ずから土石運びを執り行ない、北条殿(時政)も汗を流したと吾妻鏡にある。一家総出で汗をかきかき土を運んでいる様を想像するとその歓声が聞こえるようである。
この年の8月12日、政子は男の子を出産する。二代将軍頼家である。お産所は比企能員の屋敷であった。頼朝は比企尼の忠節に報いその甥比企能員を乳母夫(めのと)とした。このことは北条時政らを刺激し火種をつくるのだがそれはともかく、政子は10月17日に御所に帰る。
政子の喜びの日々の間、頼朝は手持無沙汰であり、愛妾亀の前の住む屋敷にせっせと通った。ほかの女にも頼朝は艶書を送りつづけその願いが叶ったり振られたりだったらしい。その後に生きた男たちと同じようである。
亀の前への怒りが大きかったことはすでに書いたとおりだが、政子は、1192年、実朝を産む。
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NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を味わえる大河ドラマ館が3月1日、鶴岡八幡宮境内の鎌倉文華館 鶴岡ミュージアムにオープンした。
北条義時と頼朝・政子らが躍動する「鎌倉」を体感できる。
期間:2022年3月1日(火)~2023年1月9日(月・祝)
開館時間:9:30~17:00(最終入館16:30)
休館日:無休(展示替え休館日除く)
料金:大人 1,000円(高校生以上)
小人 500円(小・中学生)
入館時に配布されるパンフレットの提示で鎌倉国宝館・鎌倉歴史文化交流館へ各1回無料で入場可(2023年3月31日まで)
お問い合わせ先:鎌倉殿の13人 大河ドラマ館 入場券販売管理センター 0467-39-5306
3月の段葛
3月下旬に開花し4月になると桜が満開になる段葛
【特別展】
崩壊と覚醒の70sアメリカ映画
2021年12月17日~2022年3月13日
料金:一般200円/小・中学生100円
【映画上映2022年3月〜】
■恐怖の報酬[オリジナル完全版]
3月1日~6日
監督:ウィリアム・フリードキン
出演:ロイ・シャイダー、ブルーノ・クレメル、フランシスコ・ラバル、アミドゥ、ラモン・ビエリ
■オール・ザット・ジャズ
3月1日~6日
監督:ボブ・フォッシー
出演:ロイ・シャイダー、ジェシカ・ラング、アン・ラインキング、リランド・パーマー、ベン・ヴェリーン
■リオの男
3月8日~13日
監督:フィリップ・ド・ブロカ
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、フランソワーズ・ドルレアック、ジャン・セルヴェ、シモーヌ・ルナン
■恐怖に襲われた街
3月8日~13日
監督:アンリ・ベルヌイユ
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、シャルル・デネ、アダルベルト・マリア・メルリ、レア・マッサリ
■泣く子はいねぇが
3月26日、27日
監督・脚本・編集:佐藤快磨
出演:仲野太賀、吉岡里帆、寛 一 郎、山中 崇、余 貴美子、柳葉敏郎
由比ヶ浜の満ち潮引き潮
■収蔵品展
「作家のコレクション」
会期:1月4日~4月10日
開館時間:9:00~16:30(1月~2月)
9:00~17:00(3月~4月)
※入館は30分前まで
休館日: 月曜日(1/10、3/21は開館)
入館料:一般300円、小中学生100円
【鎌倉市鏑木清方記念美術館】
■春、うらら。
~清方の風景とスケッチ~
会期:2022年3月4日~4月10日
開館時間:9:00 ~ 17:00
※最終入館は30分前まで
換気清掃時間:13:00~13:30
(一時閉館するため、ご入館いただけません)
休館日:毎週月曜日(3月21日は開館)、3月22日
入館料:一般 200円、小・中学生 100円
【神奈川県立近代美術館 鎌倉別館】
■山口勝弘展
『日記』(1945-1955)に見る
会期:2月12日~4月17日
開館時間:9:30 ~ 17:00
(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜(3月21日を除く)
【神奈川県立近代美術館 葉山館】
■奥谷博―無窮へ
会期:2月12日~4月3日
開館時間:9:30 ~ 17:00
(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜(3月21日を除く)